第1章 こんにちは、お兄さん。
仕方なく、次は家とその横に“?”を描いてお兄さんに見せる。
またお兄さんと絵を交互に指差し、『お兄さん、家、何処?』と言った。
お兄さんは意味がわかった様だが、教えてくれない。
その間もお兄さんのお腹からは血が出ている。
そんなに大量の出血を見たことのない優浬は死んでしまうのではと恐ろしくなって、自分の着ていたパーカーを脱ぎ、傷口に押し当てた。
お兄さんは溜め息をつくと、「あっちだ。」と言って道の様な所を指差した。
何て言ったのかわからなかったが、あっちに家があるのだと理解し優浬はお兄さんを支えて立ち上がり、そのまま歩き出した。
お兄さん、意外と重いですね。
END.