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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第4章 この道、桜吹雪につき。注意。


●小金井 慎二● 〜校庭〜


こうして、一悶着を終えたオレたち…主にオレなんだけど。
再び勧誘へ戻ることになった。


と言っても、オレは伊月と水戸部に急かされたから、“仕方なく戻った”って言った方が正しいんだと思う。
なぜって、後ろの桜の木に止まった“鶯”の存在が、いまだに気になってしょうがないから。


それは文字通り、勧誘に積極的だったオレが、“上手いこと勧誘をサボることは出来ないか”と考えるほどに。


怖いわけじゃない。
季節の移り変わりを、春の鳥から感じたいわけでもない。
ただ、どうしても気になる。


後ろを振り向けば、まだそこにいるだろうか?
もう一度、見ることはできるだろうか?


そう思って、勧誘してると見せかけて、こっそり桜の木を盗み見る。
自分の肩越しに覗き込んだ景色の中には…


あの鳥、お世辞にも隠れんぼが上手とは言えないな。
個体差があるのか。
それとも、“鶯”は統一して隠れるのが下手なのか。


すんなり見つけられたよ。
盗み見る程度に作った狭い視界でも、ちゃんと。


“鶯”は依然として隠れてなかった。
というか、さっきから位置変わってなくね?
微動だにしてないってこと?


…と、思ったけど。
それと同時に、“鶯”はピョンッ!とジャンプして、別の枝に飛び移ったから、全く動けないわけではないみたい。


「よかった…ちゃんと生き物だった」


変な日本語になっちゃったけど、正真正銘、オレの内側から溢れ出した本音だった。


横目で見たの小さな鳥が、無機質なものじゃなくて。
命があって、今確かに存在している生き物だと。
枝をわたることで、オレに証明してみさせた…その時。


目が合ったんだ…と思う。


たぶんな?たぶん。


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