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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第13章 英雄ぶるのも大概に


●リコ side● 〜体育館〜


『てめぇ、火神つったか?!』

「んぁ?んだよ」


いとも簡単に会話が成り立っていることに、リコは驚きを隠せなかった。自分は恐怖で声も上げられない状態だと言うのに。唯一動く目で、火神を目視すると…


そこには、天の圧力が全く効いていないかのように、平然としている火神の姿があった。リコはまたしても、その事実に驚く。


そうこうしてる間に、天がバスケ部の輪の中に割り込んできた。その迫力に押され、天の軌道上にいた部員たちは道をあけ渡すように後退りする。


ついに、天と火神は近距離で対峙する。天の鋭い目に睨まれても、それを上から見下ろす火神は気にも止めていない様子だった。
それを傍観するしかない外野は、このまま取っ組み合いの喧嘩にならないことを祈るばかりだった。しかしその祈りは虚しく崩れ去り、天が火神の胸ぐらをガシッ!!と掴んだ。


その展開に周囲はマズいと思った。パワーバランスに圧倒的差がありすぎる。怒りで我を忘れている天に、火神が何かされるとは思えない。しかし、逆上した火神に、天が怪我を負わせられるのではないかという心配の方が大きかった。


ところが、自分の方へグイッ!!っと引き寄せる天の腕の軌道に合わせて、火神の巨体が大きく前にのけぞった。


「うおぁ!!」


びくともしないと思われていた火神の体制は、体格が遥かに小さい天にいとも簡単に崩された。
それを見たリコは再び驚く。想定以上の天の力に。あの華奢な体に、一体どれほどのパワーが隠されているのか、と。


天は、己の眼前に引き摺り込んだ火神を睨んで口を開いた。


『言わせておけば好き勝手言いやがって!!
 人をヘタレだなんだの…
 テメェ何様のつもりだゴラァ!!』


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