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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第11章 バスケットボールと花時雨


●天 side● 〜体育館〜


先ほどの失敗を、早くも忘れてしまった天は、案の定背中からぶつかってしまった。


『うおぉ?!』


背中に衝撃を受けた瞬間、その反動で体が前に飛び出す。
一瞬で、これはデジャブだと気づいた天の頭に、ぶつかったのは“何か”ではなく、“誰か”の可能性がよぎる。


『ごめんなさい!ちゃんと見てなくて』


「今日はよく人とぶつかる」と思いつつ、天は謝罪を口にしながら自分の背後へ振り返った。
天は気づいていなかったが、天を取り囲むバスケ部員たちもまた、その“誰か”に向けて視線を上げていた。


天が振り返と、そこで待っていたのは…


“真っ黒い壁”だった。


「お前だったのか」


壁が発した声に釣られ、天は目の前の壁から目線を上にあげる。
そして、視線の先に現れたものを目の当たりにして、天は再び息を呑んだ。


そこには、制服から練習着に着替えた火神 大我がいた。


「すげぇーバスケ選手だった、
 藤堂 天ってのは」


先ほどよりも近くから、天を見下ろすその眼差しは、やはり鋭く獣のようであった。


「の割に鈍臭いな、お前」


よりによって、そいつが唯一…
そんな風に、天に向かって相変わらず悪態をつく火神が唯一。


“ポテチちゃん”ではなく、天を天として扱った。


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