第4章 第四章初めての舞台
私が小さい頃からお世話になっている施設にてステージを用意してもらい、粟田口達のお披露目をすることになった。
お客さんは皆子供だけ。
「さぁ、出番よ皆」
「「「はい!」」」
ステージとは言えない程の小さな舞台で、お客さんは少人数だけど、関係ない。
今この瞬間に夢を与えて、彼等を笑顔にできれば立派なアイドルだ。
「皆さん、こんいちわ!AWT48のセンターの乱です!今日は一緒に楽しもうね!」
「頑張って聞いてください」
「頑張るのは俺達だろ五虎退」
「すいません!!」
出だしからなかなかいいわね。
「既に笑いを取ってるね」
「やるね」
舞台裏から見守りながら髭切と膝丸は感心していた。
確かに最初こそは乗り気でない子供達も笑っている。
「厚と五虎退の組み合わせ…いいかもしれないわね」
見守る中音楽が流れ、乱のソロから始まり皆のダンスが始まった。
「悪くないんじゃない?」
「ああ、主の言うアイドルだな」
悪くない?
十分すぎるほど才能があるわ。
乱は勿論だけど、五虎退に厚のコンビも申し分ないわ。
バックでダンスを踊る鯰尾と無表情の骨喰もキレキレのダンスがすごい。
「わぁぁぁぁ!」
「かっこいい!!」
拍手を送られ、子供達は大喜びだった。
これって大成功じゃないかしら?
初めてあの二人が学際で踊った時の事を思い出した。
「主、すごく嬉しそうだね」
「やっぱり君は好きなんだな」
髭切と膝丸に言われて改めて思う。
「うん大好き…」
音楽が好きだった。
舞台が…
アイドル達が…
そして会場のお客さん達の笑顔を見るのが好きだった。
やっぱり私はプロデューサーの仕事が大好きなんだ。
「あるじさん!どうだった?」
「可愛かったわよ乱!」
私の元に駆け寄った乱を抱き上げる。
「あるじさん、嬉しい?ボクね、アイドルになったらあるじさんが笑ってくれると思ったんだ」
「乱…」
「だってアイドルは皆を笑顔にするんでしょ?じゃあボクが一番笑顔にしたい人はあるじさんだよ!」
私、どうしようもない馬鹿だ。
何で一時でも彼等と距離を持とうとしたんだろうか。
こんなにも優しいのに。
本当に何も見えてなかったんだ。
そう思うと涙が止まらなかった。