第4章 夜想曲/ポアロの彼と名探偵と

またしばらく車を走らせているが、携帯で誰かに何度も電話を掛けながらの運転で心配になる
なんで3人とも出ないのよ…と苛立ちを見せながら掛けているお姉さん
強盗は3人組で、一人は探偵事務所で、もう一人はさっきの家で殺害された
ってことは残りの一人を探しているんだろうな

「僕が探してあげよっか、お姉さんが探してる女の人！」
「ボ、ボウヤどうして！？」

ホントどうして！？だよ、こいつ勝手に動き出して！！
あーもうオレも起きるしかねぇか…

「お姉さんに貰った睡眠薬入りのジュースならオレ達飲んでないよ」

だってキャップを開けた時にパキって音しなかったもんな、とコナンに笑顔を向けると、うん！と返事をしてお姉さんに話を続けた

「とにかくさ、目当ての人たちに会いに行ってみようよ！お姉さんが電話してた3人、ネット上の圭さんの住所録に登録してあったから住んでるトコわかるよ！その女の人を殺したいんでしょ？浦川芹奈さん？」

あの傷だらけの携帯でなにやら調べてるなって思ったら、あの短時間でそんなところまで探しだしていたのか

「どうして私の名前を！？」
「きっかけはお姉さんが今持ってる傷だらけの携帯電話だよ！」

芹奈さんのポケットはスッキリしていて財布も睡眠薬のケースも傷はなかった
しかし事務所で死んだ男のポケットには小銭が大量に入っていて、ライターも財布も傷だらけなのに、男の携帯は傷一つなく逆に芹奈さんの携帯が傷だらけだった
ということは芹奈さんの携帯と男の携帯がスリ替えられたということ
スタンガンも傷がなかったから芹奈さんの物で間違いない

ガムテープで縛られていたのも自作自演
ドアの取っ手を上手く使って肘より上に巻き付ければ両腕は最後まで使えるし、口を使えば手首にも巻ける

コナンと順番に推理をしながら、探偵事務所での男の死亡は芹奈さんによる犯行だということまで突き止める

「あのブーツの紐も上手く使って銃の引き金を引いたんだよね。あと透兄ちゃんの問い掛けにすぐに答えられなかったのも、銃声で右耳の鼓膜が痛んでてよく聞こえなかったから」
「あのトリックを仕掛けたのも、ああすることで一旦警察から解放され、携帯電話で目的の人物を探せるかもしれないからだよね」

車を走らせながら聞いていた芹奈さんも徐々に焦り始め、ついに口を開いた


「な、何なの！？何者なのよボウヤ達！？」