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星降る音に祈りを【DC降谷/幼児化男主】

第11章 紅の出張


パフェの上に乗せてくれるのかなって思ってグラスを零の方に近付けると、餡の乗ったスプーンはそれを通り越してオレの口の前にやってきた
そのまま食べて、ということだろう…また人前でさせようとするから躊躇してしまう自分がいるんだけど、この流れは口に運んでもらった方が自然だろう
風見だけなら「もー!」なんて言えるけど、部下2人もいるからそのまま子どもを装って何も考えずにしなくっちゃ…

「どうぞ?」
「うん、ありがとう!」

パクっと零の向けるスプーンを口に入れるとこっちを見て固まる部下2人がいて、その反応が初々しくて新鮮だなぁなんて思った
オレより顔赤くしてるし、反対隣りの風見なんか慣れすぎてこんな事では動じない
そんな風見を見てか「これは普通なんだ」と悟った部下2人も平然を装い各々食事へと戻った
部下に見せつけることができて満足した零が頬杖をついてニッコリと笑顔を送ってくるから恥ずかしくて、視線を逸らしながらお冷を飲んでいると、部下が思い出した様に話し始める

「俺、和風な物を食べてると叶音さんを思い出すんですよね…」

パフェを口に運んでから部下の1人は突然元のオレの名前を口に出したから、ピタッと動きを止めてしまった
思いもしなかった名前に全員が部下の方を見ると、少し気まずそうに話を続けた

「アメリカに行ったら簡単に和食なんて食べられないじゃないですか。そろそろ和食恋しくなって帰ってきてくれないかな、とか思っちゃって」

なんとも返事が難しい話題にパフェを多めに口に入れ、喋れないフリをした
するともう1人の部下も元のオレの話題を出してくる

「そういやこの前俺の同期の爆処班の奴と会ったんですけど、“萩原隊員が「姫」って呼んでた人に会ってみたい”って言ってたんです。それって叶音さんのことですよね?」

「うぐ…っ!」
「リュウさん大丈夫ですか!?」

パフェに入っていたフレークが変に喉に張り付き涙目になりながら噎せた
隣りの風見が背中を叩いてくれて、目の前の零がお冷のコップを差し出してくれたのを急いで飲んで流し込み気道を確保する
部下も慌てて立ち上がったが、大丈夫と片手を出す形で伝えて座ってもらった

いやしかし、こんな所でオレの同期だった萩原の名前とオレが昔呼ばれていた“姫”というあだ名の話が出てくるとは思わなかった…


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