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星降る音に祈りを【DC降谷/幼児化男主】

第10章 ストラップの行方



***

コナンの指示で各自配置に付き例の男を捜し始め、子ども達3人は潮干狩りを楽しんでいる人々の群れに散らばって、大声で男の特徴を叫び続けている

「ハンチング帽を被った背の高い男の人見ませんでしたかー?」
「上も下もスーツのオッサン知らねぇか!?」
「暑そうなカッコしてるオジサンどこー?」

売店前に待機しているオレの所まで3人の声はしっかりと聞こえている
潮干狩りをしている人達もそれに耳を傾けてキョロキョロと周りを見渡してくれていて、子ども達がオジサンとは言っているものの、一緒に来た大人を捜している迷子の子なんじゃないかとでも思ってくれているのかもしれない
やっぱりそんじょそこらの警察官が捜し回るより有能かもしれないな…

「あの子達の行動力はさすがだな…」
「あれ?出入り口にいなくていいの?」

コナンに海岸の出入り口を見張るよう言われた零が売店前にやって来た

「この調子ならあの男は出入り口に行く前にここを通るだろうし、ここからなら出入り口に続く階段も見えるからね」

この海岸から出るには駐車場へ続く階段を通るしかなく、それはこの売店を挟むようにして2ヶ所ある
片方の階段前から反対側を見れば売店も出入り口も見張ることができるから、ここに一緒にいても大丈夫か…

「それに、売店前に子どもが1人でいたら迷子と間違えられちゃうだろ?」

ポケットに両手を入れながらオレを覗き込む様に言う零に、もう!と頬を膨らませた
でもそうだよね…周りから見たらオレ達2人は親子か兄弟に見えるだろうな…

「せっかく叶音と海に来れたのに、用件がこれじゃあ雰囲気のふの字もないな」

突然の零の言葉に見上げると、零は海を遠く見つめていた
確かにオレも7月に入って零と海に行きたいなぁとは思ってたけど、もしかして零も似たようなこと思ってくれてた…?

「…あのさ、ま、迷子になったら困るから…」
「ん?」

ポケットに入ったままの零の手を片方引っ張り出し、自分の片手を繋ぎ合わせ…

「大人の男同士じゃ目立つけど、この格好なら人前でも繋いでていいよね?」

大好きな零の手をギュッと握った

「叶音…ホントそういうところだぞ…」
「……?」

繋いでいない方の手で顔を覆っている零と、ギュッと握り返してくれた手に嬉しくなるオレの顔が熱いのは、傾き始めた太陽のせいにしておこう
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