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❁✿✾ 落 花 流 水 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第22章 落花流水 前



──────────────…


──────凪が知恵熱を出してから二日後。

翌日にはすっかり熱も引いていたのだが、一日中高熱が続いていた所為で体力が落ちていた事もあり、快復に向かった初日は大事を取って一日御殿で大人しく過ごす運びとなった。更にその翌日には体力も回復し、普通に動ける程度になった凪だが念の為もう一日、と休みを取らされ、御殿で自習に励む形となっていたのである。(ちなみに二日間共に光秀も御殿内で仕事に励んでいた)そして、知恵熱からの回復三日後…─────。

昼過ぎに出掛けるぞ、と光秀へ声をかけられたのは朝餉の折の事だ。凪が作った朝餉を一緒に食べながら、唐突に言われたそれへ頷き、お仕事でお城に用事とかですか?と問えば光秀からは、いや城下だ、の一言のみが与えられたのである。基本的に必要以上の情報を教えない傾向にある男相手に、それ以上問いかけたところで無駄な為、凪は自分なりに推理を進めていた。
午前中は相変わらず御殿で仕事をするらしい光秀が、午後から仕事ではない用事で城下へ向かうという。しかも自分を連れて。仕事ではないなら、私用なのだろうが…と考えたところで、とある可能性に辿り着き、凪は眼を瞠った。
まさかのデート?この時代でデートを何と呼ぶのか分からない凪は、光秀に直接それを確かめる事が叶わず、しかし万が一本当にデートだったら、とそわそわした彼女は結局、なんやかんやと昼餉を食べた後でおもむろに準備を開始した。そして、支度を始めて半刻後…─────。

(…なんか滅茶苦茶気合い入れまくって、恥ずかしいんだけど!!)

これでデートではない用事だったならば、羞恥で顔に火が点くのではなくもはや穴が開く。そんなレベルでしっかりばっちり化粧を施し、(先日の戦の折、五郎に小さく切ってもらった)竹で作った即席カーラーで毛先までふんわり巻いてしまった辺り、自分も乙女だったんだな、と実感せざるを得ない。両サイドの髪を多めに残して緩く巻き、残りの髪はアップにして毛先を軽く散らすアレンジは、自分で言うのもなんだがなかなかの仕上がりである。仕上げにいつもの真白な芙蓉を挿せば、メイクと髪型は決まりだ。

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