第28章 大型魔獣と突然変異
メディ
「それで君は部下に彼女達をつけさせて、ジルヴァが希少な魔獣であると知った…と」
ジルヴァに危害を加えた人物達、という報告書と共に送られてきた映像を確認したメディは所長を司令官室へ呼び出していた。
静かながらに感じる圧に所長は呼吸がしづらくなる
メディ
「君は以前もジルヴァを研究しようとしていたね」
所長
「か、彼を研究したら─」
メディ
「黙れ」
所長
「……っ…」
冷たく光る…全てを見透かされているかの様な深い青の瞳に所長は何も言えなくなってしまう。
メディ
「私情だと思われても仕方がないけどね…私にとってレティシアくんは娘みたいなものでね、彼女にとってジルヴァは何よりも大切な子なんだ。簡単に実験台にしようとされて…それも1度だけじゃない……醜いね、君」
所長
「………」
メディ
「それからもう1つ。…シモンくんと協力をして人獣を作ったのは君かな?」
所長
「……それは…」
逸らさずに見詰められるメディの瞳から彼が逃げられるわけもなくて…ごくりと音が響きそうな程に喉を鳴らす。
メディ
「どうなんだい?」
所長
「協力…しました」
メディ
「はぁ…やはりね。ベルナールくん以外は真っ当な研究員ではなかったという事か…私の見る目も駄目になったものだ。魔獣保護法違反、無許可実験、未承認薬の使用…数々の違反により君と他の研究員は逮捕という事になるね」
所長
「そ、そんな…っ」
メディ
「連れて行ってくれ」
部下
「はっ!」
もう自分の話は終わったとメディは所長から視線を外して、近くに待機していた部下に指示を出し所長を連れて行かせる。
メディ
「はぁ…」
静かになった司令官室でメディは1つ大きな息を吐き出した。だが、すぐに切り替えると約束をしていた人物を呼び出す
レティシア
「奴はどうなった」
メディ
「開口一番がそれか」
やれやれ、と思いつつも彼女らしくて思わず頬が緩んでしまった。司令官室に呼び出されたレティシアとルシアンは並んだままメディを見詰める
メディ
「ベルナールくん以外は全員逮捕だ」
レティシア
「当然だな。変な奴だがウェディーはちゃんとしているからな。他はただの変人だからな」
腕を組んだまま当然の結果にレティシアは満足そうだった