第1章 高校2年の春ー転校生ー
俺が数学の授業の為に2-Aに入ると空席が一つ
「おい竈門ォ高田はどうしたぁ」
「風邪で学校休んでます」
風邪ねぇ...
俺はそのまま授業を進めたわけだが、チラつく空席が気になって仕方がなかった
あいつ家に1人か?親は遅くまで仕事って言ってたし、兄貴も大学にバイトって忙しいみたいだし...
ちゃんと飯食ってんのか
苦しんでないだろうか
気がつけば俺は帰宅したその足で高田の家の前まで来ていた
「いやいや、なにやってんだ俺。もしかしたら親もいるかもしれねぇし。担任でもねぇ俺が何の用だって話だろ」
なんてぶつぶつ言ってると開かれる玄関
「先生なにしてるんですか?」
トレーナーにショート丈のズボンを履いて頭には冷却シートを着けた高田が不審な目で俺を見ていた
「いや、おまえが風邪引いたって聞いてよぉ」
「わざわざ来てくれたんですか?」
「母親とか兄貴は?」
そう言うと一度部屋の中に目を通してから俺を見る高田
「いませんよ。母は今日から出張で家空けてますし、兄も帰りは遅くなると思います」
「そうか...飯は、食ってんのか?」
「食欲なくて何も...」
それほど具合が悪い中1人でいたのか
「何か作ってやろうか」
「え?先生が?」
「ダメか?」
俺がそう言うと高田は視線を落として「いいんですか?」なんて言ってやがる
簡単に誰もいない家に男を上げるなよ、なんて言い出しっぺの俺が思うのもおかしい話だが
「玉子粥くらい作ってやるよ」
「ありがとうございます」
俺は大きく開かれた玄関から高田の家に入った
「キッチン借りるぜ」
俺は高田の承諾を得てキッチンに入る
冷蔵庫を見るとそれはまぁ整っていて、タッパーに作り置きなのか沢山のおかずが用意されている
確か母親は料理が苦手とか言ってたからこれはきっと高田がやっていることだろう
俺は冷蔵庫から卵を手に取りそれを閉めた
その間ずっと隣で様子を見ていた高田
「休んでろ。安心しな」
「ありがとうございます。正直かなりしんどくて助かりました」
顔色はあまり良いとは言えず体がしんどいのだろうよろよろと歩く姿を見て俺は部屋で休んでるように促す