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ハリー・ポッターと魂の探究者

第20章 【束の間の別れ】



 ハリーとドラコの一戦以来、今度はハリーとハーマイオニーが言い争うことが多くなった。議題は「プリンス」の教科書についてだ。

 ハリーがドラコに使った呪文、「セクタムセンプラ」は「プリンス」の教科書に手書きで載っていたらしい。だが咄嗟の事とは言え、実際に人を大怪我をさせているのにも関わらず「プリンス」の弁護をするハリーが、ハーマイオニーには信じられなかったのだ。

「だから私、言ったじゃない!あの教科書は怪しいって!!」
「分かったから、説教は止してよ」

 近頃この会話を聞くのにも飽きてきたクリスは、それまで読んでいた本を閉じ、もう1人の友人であるロンに目くばせした。
 しかしロンはロンで、明日に迫った試合の緊張で何も頭に入っていない様子だった。
 仕方なく、クリスは大きなため息を吐きながら2人に声をかけた。

「2人とも、四六時中口論してて良く飽きないな」
「飽きる飽きないの問題じゃないわ、あの本は危険なのよ!それなのにハリーが……」
「クリス、君からも言ってよ!あの本には君だって色々助けられたんだろう?」
「まあ、確かにハリーの言う通りだな」

 あの教科書がなかったら、研究はここまで進んでいなかっただろう。クリスがそう言うと、ハリーがしてやったりという顔をした。それを確認した上で、クリスがさらに付け加えた。

「けどハーマイオニーの言う事も尤もだ。ドラコに怪我をさせた事実が消えない以上、あの本を取りに戻るべきじゃない」

 あの時、スネイプに教科書の存在を知られたら拙いと思ったハリーは、咄嗟に「プリンス」の教科書を「必要の部屋」に隠したらしい。

 それから3日が経ったが、ハリーは未だに「プリンス」の教科書に執着していた。クリスからすれば、どうしてあの教科書が魅力的なのかさっぱり分からなかった。
 自分で言うのもなんだが、クリスの趣味である「人生の役に立たなさそう」な本の方が、バカバカしくて100倍安全で楽しいと思う。
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