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SketchBook【R18】

第14章 Sketch5 --朝凪のくちづけ




「…………」



それを見る、タクマさん。

それを見ているタクマさんを見る私。


「……女っぽくなったのは……分かったから。 舐めたくなるから服着ろ」


し、死ぬほど恥ずかしい。



……けど、そうなるなら願ったりじゃないの?


無理に目を逸らしているタクマさんを見ているとなぜか私の方に妙な余裕が出てきた。


「いい、よ……舐めて」


「……オマエな」


「じゃ、傍においてくれる?」


「じゃじゃねー……って、今度は脅迫か」


そう言った彼が横を向いたまま吹き出した。



「…っふ……やべー、なんだこれ」

「……タクマさん」



またそうやって何にも無かった事にされるの?

こんなに頑張って色々してるのに。


再び涙目になっている私にタクマさんが気付き、決まりが悪そうに浮かんでいた笑いを消した。


「……とりあえず」


「ぅぷ」


彼が私の両手首を上に引き、そうされると私の顔から彼の胸に倒れ込む形になった。



「……はー……やっと落ち着いて話せる」


「…………」



身動ぎしようとすると彼の腕が私の背中に周って羽交い締められたので、動けなくなった。


「……綾乃…オマエさ、必死っぽいのは分かったけど。 オレと15も離れてんのは分かってんの」


「……?うん」


「分かって無いだろ? そっちがオレの歳んなったらこっちはタダのハゲたおっさんだから」


「……?うん」



タクマさんはハゲても素敵だと思う。

むしろそれでサングラスとかかけて欲しい。



「毎年フラっとやって来て好き好きいうけど18歳以下に手出すとかありえねーし」


「………そうだっけ」



そういえば法律上はそうなんだった。

こうみえてタクマさんは役所勤めであり、真面目な人でもある。



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