第5章 #04 「はじめまして」
『ーーぐッ…!!』
背中に痛みが。
暖かなものが、羽を伝って垂れているのが分かる。
わたしは撃たれたのだ。
「イヴちゃん!!!!」
出久はなお、わたしのことを気にかけて走り寄っている。
『ーーー来ないで!』
わたしは手を目の前にかざし、重力の塊を放とうとしたが
「1-Aクラス委員長、飯田天哉!!ただいま戻りました!!」
銃声がさらに会場内に響き渡った。
同時に、クラスメイトであろう飯田とやらの大きな声も響いた。
わたしは個性を放とうとした腕、両足を撃たれた。
その反動でわたしは立っていることができなくなって、地面に膝をついた。
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赤く染まった夕暮れ。
春の涼しい風。
荒らされたリビング。
筒抜けの天井。
血生臭い部屋。
倒れる両親。
片翼を無くしたわたし。
見えない視界。
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わたしは、この撃たれた痛みで、つい先日起こった出来事を思い出していた。
入り口近くには、このピンチに駆けつけたであろうたくさんのヒーローの姿が。
なんでわたしは撃たれたの?
ヒーローは、なにやっても許されるの?
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