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カワイイ俺の……

第9章 もうヤダよ






美琴……美琴……



誰…?私を呼んでいるのは…誰?



美琴……!




助けてくれ!美琴!







「…!?」


今…呼んでいたのは誰…?




部屋の中は真っ暗で、目を開けているのかもよくわからないくらいだった。



「つっ…!」


起き上がろうとすると後頭部に激しい痛みが走る。






「………ぁ…」


目が慣れてきたみたいだ。
ぼんやりと、周りが見えてくる。





そして、誰かが部屋にいるのがわかった。


誰かを担ぎながら。



「…誰?」


よく見ようと目を細めると、担いでいた人を床に投げた。



ドサッという音と、

「ぐぁ…っ…」

という声と一緒に。




その声はとても短いものだったけど、誰かを判別するには十分だった。


「っ…和也!」


和也だ。この声は和也だ。


私は痛む頭はそっちのけで和也に近づき上半身を抱え込んだ。


「和也…よかった……無事、だったんだ」


和也に会えたことは私にとって救いだった。


というか、秀一くん以外の人にあったことがすごく嬉しかったのだ。









だからだろうか。








自分が置かれている状況を、一瞬でも忘れてしまったのは。
















「ソイツに会えて嬉し?お ね え ちゃ ん…?」



低く、どこか楽しそうな声が聞こえる。


頭上から。







「しゅう…いち……くん」


「…あ……美琴………?」


「!…和也!」


「美琴…よかった……生きて…て…」


和也の弱々しい声が私の耳をなでる。


「ソイツ、殺そうとしたら、お姉ちゃんに会いたいってうるさくてさ…」


そのことばに体がビクンと反応する。


蘇る恐怖に、震える。


和也を抱えた手、腕がひとりでに震える。


秀一くんに怯えているのは私だけじゃない。


平気そうな顔をしているけど、和也も震えてる。


私が気を失っている間に、秀一くんは和也に何をしたんだろう…


「さっ…もういい?」












「お別れの時間だよ?」












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