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月夜の欠片

第4章 第9章 風柱と那田蜘蛛山 586ページ付近


そんなに大金はなくとも階級も上がり任務を多くこなしているので、煉獄家に引き取られた時より金銭的な余裕がある。
普段自分では買わないであろう、少し見栄えのするものを探し続け……1つの雑貨屋の前で足を止めた。

「可愛いお店!以前に髪紐は受け取っていただけましたし、小さな物なら受け取ってもらえそうです!」

意気揚々と扉を開き中へ入ると、思わず自身が欲しくなるような小物が所狭しと並んでいる。

「簪に帯留め……これは洋服を着た時に付けるものでしょうか?確かブ、ブ、ブロ……」

「ブローチですよ」

「?!」

喉まで出掛けていたのにどうしても思い浮かばなかった単語が後ろからいきなり聞こえ、驚き危うく手からブローチなるものを落としかけてしまった。

「フフッ、すみません。驚かせてしまいましたね。いらっしゃいませ、ここの店主です。何かお探しでしたらお伺いしますよ?」

ブローチが壊れないように柔く握り締めて後ろを振り返ると、切れ長な瞳に黒髪をしっかり後ろで纏めた綺麗な女性が笑顔で佇んでいた。
歳の頃は行冥より少し下くらいに見える。

「いえ!こちらこそぼんやりしていてすみません。実は何を買うのか決まっておりませんで……素敵なお店だったので、こちらで何か見つけられたらなぁと。贈り物なんです」

モジモジと恥ずかしそうに顔を赤らめるの様子から、店主は贈る人物とどういった関係か瞬時に理解して笑顔を深めた。
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