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月夜の欠片

第13章 あかり


それから男たちは大人しく卓袱台の周りに腰を落ち着け、元気な産声があがるのをひたすら待った。

「煉獄、今更だが何で朱莉なんだァ?生まれるのが女って分かんねぇだろ」

実弥の皆の疑問を代弁する声に自然と視線が杏寿郎へと集まった。

当たり前な質問に意気揚々と答え皆が呆気に取られて暫く……誰もが待ち望んだ大きな泣き声が屋敷中に響き渡った。

その声に反応した杏寿郎は声を発することなく立ち上がり、その声がする部屋へと急ぐ。
そして部屋の前に辿り着くとちょうど蜜璃が杏寿郎を呼びに行こうと襖から出てきたところであった。

「甘露寺!と朱莉は?!2人とも……」

「煉獄さん!ちゃんも赤ちゃんも元気です!え、女の子ってどうして……」

やはり疑問に首を傾げる蜜璃の肩を叩いて頭を下げると、杏寿郎は部屋の中へと足を踏み入れた。

「……」

「う、生まれました。杏寿郎君、元気な女の子ですよ。今ね、産湯で綺麗にしてもらってるところなんです」

長時間に渡る分娩により疲れは見れるものの、笑顔を覗かせてくれたに歩み寄りそっと体を抱きしめた。

「よく頑張ってくれた。ありがとう……そうか、やはり女子だったのだな。無事で……本当によかった」
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