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月夜の欠片

第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)


今まで何度か実弥と手合わせをしてきたが、1度たりともが優勢になる事はなかった。
それはやはり今現在もで、いくら技を繰り出そうとも実弥が体勢を崩す気配さえ感じ取れない。

「人生で1度くらい……実弥お兄さんに勝ちたいです!」

渾身の力で上から木刀を振り下ろすも、実弥はそれを易々と受け止めて流しニッと笑顔を向けた。

「そうかよォ!なら煉獄くれぇ力付けてみろ!煉獄に勝てりゃあ俺から1本取れんじゃねぇ……かァ!」

上から下へ木刀を振り下ろす方が体重も乗せられて優位なはずなのに、の重みなんて感じないと言うように押し戻して乾いた音を辺りに響かせる。

宙を舞う木刀はもう諦め、どうにか実弥から1本取りたいは……木刀を喉元に突き付けられてなるものかと少し体勢を低くして実弥の足を払おうと脚を動かした。

「甘ェ!」

動かしたのに、気が付けばは仰向けに倒され木刀を喉元にあてがわれていた。
何が起こったのか……考えなくても手首にある圧迫感や背中にある僅かな痛みで理解出来た。

「うぅ……参りました……」

悔しさから涙の滲む目で実弥を見遣ると、見られた当人は慌ててを立ち上がらせて杏寿郎の胸の中に押し込める。

それを苦笑いで甘んじて受け取った杏寿郎は、悔しさで震えるの頭を親のような気持ちでゆっくり撫でてやった。
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