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月夜の欠片

第7章 ※ 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ


花火がよく見えるであろう河川敷は既に多くの人で賑わっていたものの、まだ2人が座る場所くらいならばそこかしこに点在していたので、確保しておいた茣蓙を敷き2人で腰を下ろして花火待ちである……大量の飲食物と共に。

「杏寿郎君は花火を見たことありますか?」

「任務先で偶然打ち上がったものを見たことはあるが、こうして腰を落ち着けて見るのは初めてだ。なので俺も実はすごく楽しみにしていた!」

つまり2人とも花火を見るために花火大会へと足を運ぶことが初めてなわけで……その事実にの表情がパッと明るくなった。

「本当ですか?!私もすごく楽しみにしていたので一緒ですね!」

杏寿郎はともかくが花火大会を楽しみにしていたなど、浴衣を懸命に探し求めたりソワソワしている姿を目にしていれば嫌でも分かるだろう。

「あぁ!一緒だ!それはそうともうすぐ打ち上がるので、今のうちに水分をしっかり取っておきなさい。今日は暑いからな、見ている最中に倒れては大変だ」

「はい!」

首筋に汗を流しながら杏寿郎から差し出された茶を受け取って口に運ぶと、聞いたことのない不思議な大きな音がの耳を刺激した。

「!花火が上がるぞ!川の方だ!」

杏寿郎の言葉に慌てて音の鳴る方の空を見上げる。

その瞬間、破裂音が鳴り響き眩いばかりの閃光を放った輝く花が黒い夜空を彩った。

その様を息もするのも忘れて2人は魅入った。
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