第7章 ※ 第25章 決戦と喪失 1812～1813ページ

「あのお店に買いに行って下さったのですね。まさかこのような素敵なものを用意していただいてるなんて思わず……本当に嬉しい。ありがとうございます！」

胸元から頬を紅潮させながら笑顔で見つめてくるの頭を撫で、杏寿郎はホッと息を着いた。

「喜んでもらえて良かった！綺麗な帯飾りなので、折角ならば揃いで付けるのもいいかと思ったんだ。さぁ、そろそろ向かおうか。花火の前に屋台で腹拵えしなくてはならんからな！きっとラムネも金平糖もあるだろうから好きなだけ手にするといい！」

商店が多く立ち並ぶ街並みを歩いたことはあるものの、こうした催しで屋台で食べ物を買い食べ歩きなどした事のないは満面の笑みで大きく頷いた。

「はい！お揃いの帯飾りをいただけて、ただでさえ楽しみでしたのにより一層楽しみになりました！ラムネと金平糖を手に花火を見れて、隣りに杏寿郎君がいてくださるなんて夢みたいです！」

笑顔を向けてくれている杏寿郎にギュッと1度抱きつき直すと自ら体を離し、代わりに大きく温かな手を握り締めて玄関へと引っ張って行く。

「君は何をするのも楽しそうにしてくれるので、俺も楽しい気分になるな！だが急ぐ必要はないぞ！今から向かえば十分時間に余裕はある！」

聞いているのか聞いていないのか……目的地まで歩幅が緩まることはなかったが、杏寿郎は諌めることをせず終始の思うようにさせてやっていた。