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月夜の欠片

第6章 第26章 月と太陽 1873ページより


「そう……ですか?ではお言葉に甘えさせていただきますね?杏寿郎君、よろしくお願いします」

皆に促されふわりと微笑みながらコテンと首を傾げ杏寿郎を見上げて願うと、いつもの如く笑顔で頭を撫でてくれた後、肩を抱いて母屋へと促してくれた。

「宇髄、皆、着いてきてくれ。俺も写真が楽しみなのでな!ようやくの見たことのない顔を見られる!それに……写真は君がずっと温め続けていた願いだ、我慢を強いられることのない世界になってようやく叶えてやれた願いが、ようやく本当の意味で叶えてやれるぞ」

今日見た中で1番穏やかで優しい笑みをに向ける杏寿郎に皆は再び釘付けとなる。
しかしやはり鬼殺隊時代にどのような生活を2人が送っていたのか知らないので、言葉の意味は分からなかった。

「姫さんは色々な事情があって、ちっこい時から鬼が居なくなるまでずっと我慢を強いられて生きてきた。今の煉獄は引くくらい姫さんに甘々で見てるこっちが恥ずかしくなるが、ようやく掴んだ穏やかな生活を2人で一緒に過ごせんのが嬉しいんだろう。慣れねぇうちは戸惑うだろうけど、大目に見てやってくれ」

何があって我慢を強いられていたのか……明言は避けられたものの、女子らしからぬ手の平の皮の厚さや強さ、驚くほどの体力を持ち合わせたを見れば、どれほど過酷で厳しい生活を送ってきたのか何となく想像でき、深く追求することなく天元の言葉を門下生たちは頷き受け入れた。
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