第1章 ※月夜の軌跡 9章

「杏……寿郎君、待って……んっ！ぁ……太もも……ヌルってしてるの」

が怖いと感じない限り待つつもりはなかったが、今の言葉は聞き捨てならなかったようで、杏寿郎の動きがピタリと止まり、顔が笑みで満たされていった。

「それは嬉しい限りだな。、もっと近くへおいで」

少し離れていたの火照った体を抱き寄せ、弛緩している背を上から下へと指を這わせ、ゆっくりと尻へと動かしていく。

「ひゃんっ！んん……ふ、ぁっ……どこに……」

「ん？どこだと思う？」

答えを聞かずとも、杏寿郎の手が止まった位置で何をしようとしているのか分かってしまう。
もぞもぞと動く手は、の腰巻きの紐を解きにかかっているのだ。

その手の感覚を顔を真っ赤にして感じ取っていたが、は未だに笑みを浮かべている杏寿郎を潤んだ瞳で見上げた。

「気持ちよくしてくださるなら、私も杏寿郎君を気持ちよくしたいです。下着……解いてもいいですか？」

その顔は普段では考えられないほど艶やかで、杏寿郎のモノがドクンと脈打ち期待に膨らんでいくのが分かった。
もうこうなってしまっては欲を吐き出さない限りおさまらない。