一緒に灯台の光を灯し続けよう(アイナナ大神万理夢)
第1章 大神万理
春から小鳥遊事務所に就職した。
つい先日までは小さめの事務所だったと言うが、が入社した時に感じたのは活気のある職場だという事だった。
マネージャー業はまだ出来そうもないが、事務仕事なら大分覚えてきたと思う。
それも、優しく教えてくれる『イケメン』の先輩のおかげなんだけど…。
「さん、お疲れ様。今日はもう上がっていいよ」
大神万理さん。長髪を一つ括りにした長身のイケメン。恐らく、この事務所で一番色々な事をしていて大変だと思う。
「大神さん、晩御飯は食べないんですか?」
お弁当らしきものを食べてる所を見たことがない。ほとんど働き詰めのようだから、いないと思う。思いたい。
「適当にコンビニに行って来ようかなと思ってるよ」
柔らかい笑顔は話しかけやすいイメージを与え、イケメンでも安心感を与えるイケメンだと思う。
「そう、ですか…」
「なんかあった?」
一緒に晩御飯でも、なんて無理っぽいな。無理に笑顔を浮かべて「何もないです!」と手を振った。
ピロン♪
大神さんの携帯が通知を知らせ、その通知を見た大神さんの目が丸くなった。
「まずい!さん、急いで帰って!ごめんね!」
慌てる大神さんに肩を抱かれて真っ赤になるが、急いで帰そうとしてる態度に悲しくなる。
「え、あ、何かあるんですか?」
促されるまま、鞄や上着を手にして出入口に歩き出した時、勝手に扉が開いた。
「やあ、バン。来たよ」
「す、すみません!もっと早く連絡しなよって言ったんですが、事務所前に着いてからユキが…」
現れたのは天下のRe:valeの二人。生で見る二人はトップアイドルのオーラが凄い。
堂々と入ってくる千さんの後ろからペコペコと腰がやたらと低い百さんが入って来た。
「来たよじゃない。百くん、悪いのは全部こいつだから気にするな」
トップアイドルに負けない大神さんの存在感(イケメン具合も)と、そのやり取りに茫然とする。
「あれ?その子は?」
「あ、新しく増えたっていう事務員の子だね!?はじめまして!」
千さんの流し目にたじろぎ、情報通の百さんが手を振ってくる。
「は、はじめまして…」