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walking proud~呪術廻戦~R18~

第21章 residual ■


レイは単独任務を終えて高専に戻った時、校舎入口の桜の木の下で、1人ぽつんと佇んでいる七海を見かけた。

ゆっくりと近づいていき、その表情を見てハッとなる。

いつもの無機質な真顔だ。
そのはずなのに、こんなに悲痛そうに見えたことは初めてだった。

花びら1つない、散り終わった桜の木を見上げている。
散り終わったというよりも、今年は全然咲かなかった。


なんとも言えない七海のその表情は、やはりあのことを思い起こさせた。


「七海くん、お疲れ様。
もう桜、なーんにも残ってないね…
って当たり前か。もう5月半ばになっちゃったし。」

七海は僅かにこちらに視線を移し、そしてまた上を見上げた。

もしも桜がまだ少しでも咲いていたら、目のやり場に困らなくて済んだだろうか?
彼がどこを見て何を考えているのか、分からないままでいられたかもしれない。
そう思いながら、レイも上を見上げた。


「来年も…七海くんはまだここにいるよね。私たち3年生はもういないけど…七海くんはきっと、来年はこの桜の木の下で、花を見上げているだろうね。」

「……どうですかね…それまで生きているかはわかりませんので。」

「生きてるよ」

強く即答するその言葉に、七海はうつむいて目を細めた。


「なぜ、ですか」


レイは、地面に視線を落としたままの七海に目を向けた。


「…七海くんは、生かされたから。」


七海はグッと拳を握りしめ、掠れた声で言った。

「…そんなこと…私は頼んでいません」

「そんなことは関係ないよ。守られる価値がある命だったから守られた。それだけが事実だよ。」

七海はハッと目を見開いてレイに視線を移した。
彼女は無表情で、なにもない木の枝を見上げている。
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