第6章 Teddybear
ガタタンッ…
突然扉が開く音がし、パッと唇を離す。
慌てて視線を流すと、そこいたのはクマを抱きかかえた灰原雄と、その灰原雄の目をバチッと片手で覆っている七海健人だった。
「やぁ、灰原、七海、お疲れ。
何か飲みに来たのかい?」
何事も無かったかのように夏油は微笑む。
「も!突然なんだよ七海!手ぇ退けろ!」
クマを持っていることにより両手塞がりの灰原は、七海による目隠しを退かせないようだ。
七海が仏頂面のまま黙って手を退けると、灰原はいつもの子犬のような顔で目を輝かせた。
「お疲れ様です!夏油さんレイさん!
クマくんが落っこちてましたよ!」
「えぇ?!」
よく見るとクマは灰原の腕の中でグーグーといびきをかいている。
「ね、寝ている…!ごめんね灰原くん!
どこに落ちてた?」
「構いませんよ!すぐそこの廊下です!」
「ななんでそんなところで…もう…」
レイはクマを受け取ると、ため息を吐いた。
けれどこうして見ると、本当にただの可愛いクマのぬいぐるみだ。
夏油はいつの間にか2人に飲み物を買ってあげていた。
それを飲みながら、やはり皆でクマの話になる。