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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第16章 覚醒のトリガー


「構わないよ、早く硝子の所へ連れて行きな」
「さんきゅ!後でメシ奢る!」

……改めてこの場を見渡せば地獄絵図。
特にハルカが居た場所。男ふたり、片方は両腕両脚が、ボスの方も四肢をもがれ、血溜まりで気絶してるようだ。もしかしたら助からないかも知れない。いくら治しても出血量ってのがある。この場にハルカも硝子も居ないから満足な治療も出来ないだろうし、ハルカのご希望通りにあいつは死ぬな……。

目指すは高専、ハルカを抱えて術式を使う。
薄暗い地下は高専敷地内へ。瞼を閉じ青白く死んでるみたいなハルカの口元に耳を当てる。
す…ぅ……、す…ぅー…。
小さく呼吸が聞こえる、まだ…っ、まだ生きてた。貧血程度でつまらない死に方をさせたくねえんだけれど?せっかく、楽しい旅行だったっていうのに、これで最期を看取るなんて俺は死んでも無理だった。今の状態じゃ認められない、腕の中のハルカには生きるって選択をさせたい。
走って医務室へと進み、ドアを開けるのも億劫で蹴り飛ばした。

ドガァ!という音と遅れてカシャンッ!というガラスの割れる音。
凄い表情で硝子が驚き、手に持ったコーヒーがぽたぽたと床に零していた。

「硝子っ!ハルカ!」
「五条ドアくらいっ……と言いたい所だけどそれどころじゃないか、そこ寝かせろ!」

空気を読んだ硝子は零れたコーヒーのカップをデスクに置き、診療台へ寝かせたハルカを覗き込む。
真剣に、ハルカに触れながら。

「外傷がほぼ無いな…、首筋の薄めの傷くらい……けど青白いって事は血液関連?」

「新しい呪術がどうやら血液の消費をするものっぽくて、術を使う度に体から蒸気が出ていた」

ふうん、と返事をした硝子は術式をハルカに施す。
大丈夫か、本当に生きてるよな…?心配になって覗き込むと硝子が振り向いて影になるから邪魔、と言った。
なるべくハルカが見える位置で、懸命に彼女に向き合う硝子に話しかける。

「……生きられるよな?」

「うん、本当にギリギリだけど。一分一秒を争う程に下手したら連れてくる途中、五条の腕の中で死んでたかもね。
ハルカの血液量はもう大丈夫だと思うけれど……逆に良くなったからね、この後が心配かな」

心配?と硝子に聞き返した。
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