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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第16章 覚醒のトリガー


刀を首に押し付けられたままに、薄皮が切られている感覚を感じながらにきょろきょろと周囲を見渡した。
パルスまで私の手の届く範囲だった、すぐ隣なんだから……それならば。

夏油や悟達を見ているパルス。こっちに警戒はしてない。七海側はまだ生き残ってる数名が呪霊なのか式神なのか分からないものを使役して戦っていた。七海は脇腹を庇ってる様子が見えて…怪我を負ってる。奥の方で戦う術師も頭に何かを被り、使役しながらに構成員と戦い続けてる。
混戦の中だ、人質にずっと意識を向けるワケがないよね?まさか、捕まってた時とは違う種類の呪術を使えるようになったなんて想像すらしてなかったんでしょ?

特に夏油に意識を集中してるパルスの脇腹あたりにすっ、と手を伸ばす。私からその服越しに男の脇腹に触れた。

──リベルタは構成員に体験だと言って両腕を切り落とす事や足を切り落とす事をしていた。
出血量を考えて手だけ斬って回復、足だけ斬って回復……としていたから、本当は両方を一度に与えたかったけれど時折印を結ぶ行為を見ていたから大事なのは手なんだろうと判断して。
手は手でも先端ならば手首、より深く傷を与えるなら二の腕。私はこのパルスの自由をまず奪うことを選ぶ。
つまりは腕を斬ってやろうって思ったわけで。

『──"罰祟り"』

間近な場所からぬちゃ、という生々しい音が聴こえた。

「んあ゙っ……!?」

それはスーツの生地、片肘の辺りからぼたぼたと液体が染み出す光景。そしてもう片手は下に下ろした瞬間にゴト、と二の腕から先端の腕が床のタイルに落ちる光景だった。纏わり付くはずのスーツの袖の生地はひらひらと中身が無い事を証明してる。

何があったか理解の出来ないパルスはボスにやられたのかと勘違いしてボスの顔を凝視し、しばらくしてから違うと気付いて私を見た。

急な発熱と蒸れるような体表の蒸気。シュウゥ…という、音を聞く。瞬間的な立ちくらみ。更には脈打つガンガンとした酷い頭痛。
なんとなく分かってきた、かも。これ、貧血……だ。多分、髪と血液が呪われているから、髪は白髪化していくけれど……この術式では血液が失われてる。
発熱と蒸気は私の身体から血液が消えている瞬間。流石にどれくらいの量が失われてるか分からないけれど、ボスの眼の前でやったからには対策が取られないうちに…逃げられる前に今、やるしかない!
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