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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第15章 縛りの為の呪物


136.

心地よい風が部屋に舞い込む。
窓を開け、テラスに立って手すりに肘を置いて、しばらく来れないだろうエメラルド色の海の寄せては返す光景を目に焼き付けるように、その動きを眺めていた。

『もう最終日。今日で沖縄とお別れかー……めっちゃ帰りたくないんだけど』

許されるならばあと一日。もっと良いなら1週間くらい滞在したい。全てを満喫は出来なかったけれどかなり堪能は出来た、かな。
悟とずっと一緒に居られたのが嬉しかった。そしてこれからずっと着け続けるであろうリングも貰って。
私の不安を吐き出した時、それを受け取って悟は私を愛していると言ってくれた。自分の力不足はなんとかしたいけれど……希少価値や術式目当てじゃなくて個人として好きと言ってくれるのならばそれがとても嬉しくて。
昨日も、一昨日も。きっと忘れられない想い出になった、本来であればこれで入籍って流れだった10回目のデート。

荷物を纏めたらしい、悟が後ろ……部屋からテラスへと近付いてくる足音。
海から視線を手すり…、自身の指に移せば眩しい太陽に照らされて白く反射するシンプルな指輪が嵌ってる。

「またくれば良いじゃん、これからは恋人のデートじゃなくって夫婦のデートとしてさー」

後ろからの声。手すりに両手を置いて振り返れば、眩しいからといつもよりも濃い目のサングラスを着けてる悟がズボンの両ポケットに手を突っ込んでゆっくりとこちらに寄ってきていた。

「人生は長いんだよ?僕らはずっとずっと長い時間を過ごすんだから、きっと沖縄も何度も来るよ!オマエがさ、すっごく楽しみにしててここに来るまでも、居る間もすっごく楽しんでるのは分かったからさ!僕的に何度でもハルカを連れて来たいって思ってるし!」

にこっ!と太陽に負けないくらいに眩しい笑顔を見せる悟。

『マジ?正直また来たいです』
「ん!素直で宜しい!また来ようね」

側に来ると両手をポケットから出して、私の背後に立つ悟。私はまた手すりに肘を乗せて海を眺めると背後からぴっとりと悟はくっついて手すりに乗せた私の腕に悟も手を乗せる。今居るテラスは部屋と違って外、暑いから少し汗ばむ腕や体温でうっとおしい。
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