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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第2章 視界から呪いへの鎹


『……何?』

「減るもんじゃないし、慣れるためにもさ、」

拒絶する間もなく近づく整った顔面に、私はその唇を…口元を片手で抑えた。
祖母達へのフェイクとはいえ、練習をするな。急にされるのも驚くけれど、事前に言われても心の準備ってか…なんだろう、この気持ちは。
目の前の、普段は目元が隠されて口元が見える男が、現在は正反対の目元が見えて口元が隠れている状態になっている。目元が不服そうに視線で語っていた。

それに、だ。祖母が去ったというのに、未だにこの距離感はおかしい!良い加減に離れるべきであって……何さ、今、10センチある?15センチはないよね?それくらいの距離でまるでその瞬きする音さえも聴こえてしまいそうで。
引き寄せられた腕と上半身や、さり気なく絡められた足から自分じゃない体温を感じて私は、今まで異性とこんな展開を経験していないのもあって。

……私はキャパオーバーだった。

じわじわと、高鳴る鼓動と不服だろうけれどその近距離で見つめられて顔全体に熱が集まるのを感じた。
耐えきれなくて視線を反らした所で、相手の口を抑えた私の手は手首を掴まれて簡単に剥がされてしまった。その隠された口元が開放された第一声は。

「もしかして、僕の事…意識しちゃってる?」

『……、』

それを認めたら。
意識してるだなんて、そんな事認めたくない。

『じ、自意識過剰なんじゃないのっ!?』

目の前の腹立つ悪戯小僧(成人)から遠ざかって逃げようにも、片腕は力を入れて布団から出させてくれない。
ニヤニヤと楽しそうに、クックック、と笑って私の焦る姿を堪能していた。
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