• テキストサイズ

【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第2章 視界から呪いへの鎹


門の中は逃げ道が無い。ならば広い外に行くべきだという事だった。
頭上の薄暗くなりかけたオレンジの明かり、後ろからお待ち下さい、と呼び追い掛ける足音を感じながら、一歩踏みしめる毎にジャリジャリ鳴る玉砂利の庭。
そこから抜け出して門から私は飛び出した。

『はぁっ…はぁっ…、』

……あーあ、バッグ置いてきちゃった。携帯も無い、どうしよう…でも、わざわざ戻ったら…。
道路沿いに帰れば良いかな、そう思いながら、アスファルト舗装の道を走る。ところどころ砕石が路上にあって靴底でそこを踏めばちょっと躓きそうになるも、立て直して走った。
しばらく走ってふと、後ろを振り返る。もう、追ってきては居なかった。

乱れた呼吸を整える為に止まって、膝に手を置いて荒い呼吸をした。薄暗くてじめじめした一本道。私はこれから自分の足で家に帰らないといけない。
父にはここにいる事を言っていない。行きは新幹線やバス…気の遠くなる帰路につかないと。
帰り道についてを模索していると、物音が聴こえてきた。

「まいごですかあ~ぁ…」

『えっ?』

がさ、と物音がして、この一本道を囲む森からの気配に顔を向ける。人の声がした、こんな所に一体誰が……?

「どこですか、どこにまいごなんですか~ぁ…」

『……ひっ!?』

思わず口を抑える。
それは異型。モンスター…クリーチャー。大きな眼球がいくつも着いていて、黒い容姿…足はカエルみたいで5本もある。
カサカサ…と森からこちらに向かってやってきていた。

「まいごぉ~おすまいわあ~」
「アレかってきてくれねぇか…アレ…それ……かって…」

ガサ、という音。風も吹いているけれども大きな身体の異型。悟はリッカーと例えていたけれど、クリーチャーというか、ホラー作品の敵というか。
そうか、これが呪い…。
空気中や地べたを鼻を鳴らすようにひくひくと動かし、私をじっと見ている。恐怖で体が強張った。

『見える、見える様にはなったけど……っ!どうしろっていうのこれを!』

ガサガサとまた違う呪いが這い出てきた所で私は道路方面へと走り出す。見えたのは良い。良いけれどどうこうする手段を私は知らない。
整え終えた呼吸はあっという間に乱れていく。
/ 2273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp