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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第5章 "好き"が止まらない!


36.

ぎゅっと悟に包まれるように抱きしめ合っている。
私は胸板に埋めた顔をもぞりと少し横に向けた。視界には夜の薄暗い公園。見ている人は居ない…まあ時間も時間だし…。
とてもどきどきとしているけれど悟の香りが…体温が。今日まで抱えていた好きを我慢していた心が、ほぐれていく様な安心感があった。

私はもう…自分に嘘をつかずに正直に悟を好きで居ても良いんだ。
片耳から鼓動と共に悟の心地の良い声が響いて聴こえる。

「キミ、合コンでご飯しっかり食べたかい?」

悟の言葉に答える為に私は少し顔を上げた。

『藪から棒に何を言い出すんだか……、私はそこそこ固体を摘んで液体で満たしてましたけれど?』

おしゃれではあったけれど。
唐揚げやらポテト、山盛りのサラダから始まり、エビピラフの具材は彩りよく。見た目重視ってのは分かる。けれど比べるとしたらきっと明日のお寿司が美味しいんだろうなと思いながらレモンを絞られた唐揚げを食べていた。甘い酒で食べるものじゃないな、と私はハイボールに切り替えていたんだったわ。
バーだから仕方ないのだけれど悟は私の答えを聞いて少し大きく息を吸った胸はへっこんでいく。この人…ため息吐いてる。

「あーやだやだ、呑兵衛さんは。アルコールさえ取れれば良いって考えてるんだから」

悟はクックックと笑って、私から見えるこちらに寄ってきた呪いを簡単にねじ切って祓う。
想いが通じ合って恋人になりました、というのは良いけれど会話は仮の恋人の時や、解消された時と同じく変わりがない。
けれどもこの体温や香りが確かなもの。今までで一番悟を意識してしまってどきどきが止まらない。
もぞもぞと顔を埋める。…ふふ、もうちょっとこうしてたいなぁ。
嬉しいという興奮と落ち着きの左右にガタガタ揺れる天秤。会話に、集中しなきゃ…!

「ラーメンとかーハンバーガーとか食べちゃう?やっぱり高カロリーってね、夜に食べると罪の味だと思うよ?」
『随分と腹がもたれそうなチョイスしてくんなぁー……悟は食べてなかったの?もう10時近いと思うけど』

悟の胸の中でもぞっ、と顔を上げると、私の動きに気が付いた悟は微笑みそのまま整った顔を降らせてくる。
触れる程度のキスにいちいち熱っぽくなってしまう。唇が離れた後に私のそんな反応を見て悟はおかしそうに笑っていた。
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