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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる


この部屋で何部屋目だったかな、六…かな。
その部屋は入る前から察してはいたけれど入って直接見てみれば内装はぐちゃぐちゃだった。多分、この部屋でお目当ての呪霊と対峙した悟が祓ったんだと思う。
足元に気をつけながら窓辺に近付き、鍵に手を掛ける。鍵自体は動くんだけれど窓が開けようにも歪んでる。サッシが大きく歪んでいるみたいでこの部屋は涼しい風を取り込めないらしい。売地の価値を下げてますわ、下で待ってる人!
暑い中で、しかも広い部屋で。こんなぐちゃぐちゃ中を探すのはめんどくさい。この部屋にいる間は上着を脱ごう、幸いにも中に黒いインナー着てるし。

制服の上着を脱ぎ、捲くった袖を直して腰に巻く。いくらか服の中に籠もってた熱が無くなって涼しくはなったけれど。
あー…秋に戻りたい。どうして暑い日に来てしまったのか。
手で扇ぐにも僅かな微風。意味もないし逆に疲れと体を動かした事で余計に暑くなるって理解して扇ぐのも止めた

『……探そ。ぐちゃぐちゃでしかも残滓があって完全に時間掛かるの決定だけど探そ』

これで壊れてたらどうしよう。呪物の領域内なんだか悟の過去なんだかよくわからないこの悟の高専時代に取り残されんのかな…。
なんとしてもこの部屋から早く出て、そして元の秋へと帰りたい。その想いと、この蒸し暑さの中で気合いを入れた。

ガタガタ、と倒れた本棚を持ち上げようにも上がらなくて、仕方なく"怒髪天"の真っ白な式髪を撚り合わせて、蛇の様に床を這わせて。そのままテコの原理で持ち上げて元の壁沿いに立てかける。
持ち上げる瞬間からガタガタガタ、と中身が飛び出してたまにカシャン、って高音の破壊音とかも聞こえる。ずっとヒヤヒヤしながら、立て掛け終えた本棚から飛び出した物を物色した。あのカメラの大きさのものはなくて、大体細々としたものが多い。

『主に本、本、分厚い本……と、ガラス細工かぁ~…さっきの壊れた音はガラス細工ね。びっくりしたじゃん…』

分厚い背表紙に叩きつけられて壊れたらしい、首がポッキリ逝った白鳥だったもののガラス細工。
凄く高いんだろうなあ……スワロフスキーとかそういうやつ。白鳥の周りの装飾がキラッキラだもん。宝石とかだったらまさか無いでしょ…いや、高価すぎるものは置き去りとか無いのだと思いたいんだけど。
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