第2章 農業生活二日目
本当に季節感無視だな・・・この温室。ゲーム頑張った甲斐があったってことだなぁ。ここまで頑張った原因が、失恋って言うのが残念だけど。
あ~、嫌なこと思い出した。
「どうかした?」
「ちょっと、嫌なこと思い出しただけです。」
つい、眉を顰めれば、その続きを待っているリヒト。仕方ないので、簡素に事情を話した。ゲームのことは言えないけど。そして、リヒトは考え込んでいる様だ。
「リヒトさん?」
「あぁ、ごめん。そうだよね・・・こんなに可愛いんだから、元カレの一人や二人はいる。」
ん?ひょっとして・・・気にしてる?
「未練・・・ある?」
「無いですよ。友人を失くしたことも。もう、過去の事です。」
「そう。もし、辛くなったら僕を頼ってくれていいから。」
ニッコリと笑う彼に、お礼を言っておいた。未練は本当にないし、痛みはあってもそれは騙されていたからであって他に意味はないもの。
一通り見回ってから、家へと戻った。先に戻ったリヒトが、ランチの用意をしてくれていた。それにしても、エプロン姿もカッコイイ。目の保養になる。
こんなにカッコイイのだから、リヒトこそ彼女の一人や二人いそうなんだけど。でも、願望がないって言ってたっけ。理由あるのかなぁ?いつか、聞いてみよう。
「さ、食べようか。」
「うわぁっ、美味しそうっ!!いただきます。」
バゲットが超美味しい。上に乗せる食材も、ペーストもどれもホッペが落ちる程美味しかった。そして、スープは浅利のチャウダー。つい、顔が綻んでしまう。
「ねぇ、燻製されたものも結構あったんだけど、あれも莉亜が作ったの?それに、あの岩塩やハーブの調合も独特な風味とブレンドに驚いたんだけど。」
「岩塩は、燻製してますよ。ハーブは畑の物を好きにブレンドしているだけですけど。」
何気なく返答すれば、リヒトの手が止まった。
「燻製機があるの?」
「明日にでも、案内しましょうか?」
「うん、見たい、」
笑顔がキラキラしてる。流石、料理人。興味あるんだなぁ・・・くらいにしか思ってなかった。明日、そのリヒトを驚かせる事になるのだけど。それは、また明日のお話し。
さて、食事も終わったし予定通りに釣りに行こう。釣り竿とルアーセットとビクとタモを持って、畑から下って行くと川へと出た。何か釣れるかな?