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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第11章 昨日と明日と明後日と




「わた・・・し、は・・・」

FBIの自分でいるべきなのか、如月ひなたとしているべきなのか。

・・・分からない。
分からないけど。

「・・・・・・」

もう、間違っていてもいい。

「私も・・・」

そんな自暴自棄になりながら、今持てる精一杯の言葉で。

「少なからず・・・透さんに好意があります・・・」

この感情に嘘をついてはいけない。
そう、透さんに教えられたように感じたから。

「・・・・・・」

小刻みに震える体と声で、気持ちを吐露した。

それは本当に精一杯の言葉だった。
これ以上、私の口から出せる言葉は無かったはずなのに。

「・・・つまりは?」
「・・・ッ」

彼は、もっと明確に、正確に・・・そして簡潔に。
これ以上の言葉を要求してきた。

・・・ああ、やっぱりズルくて、賢い人だ。

きっと私が彼の言葉に反応して、目線を上げることも読まれていた。

どこか挑戦的で、でも満たされたような表情をこちらに向けていたから。

「す・・・」

たった二文字。
彼はそれを軽々と口にする。

だからと言って、それが簡単なことでないことは、身をもって感じる。

得手不得手という言葉が脳裏に過る中、耐えられなくなって、彼の顔から視線を逸らしてしまった。

「・・・はい」

急かすようにも聞こえる返事だったが、声の柔らかさがそれを掻き消して。

情報屋というのは、こうして言葉を吐き出させるのか。
彼らしいと思うと同時に、敵わないとも思った。

ようやく静かに意を決すると、逃げ出したい気持ちを拳を握ることで紛らわして。

「好き・・・かもしれない、です・・・っ」

か細く、震えながら。
それでも精一杯、気持ちを吐き出した。



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