第3章 唇から伝染する
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一護とのキスは、すごく気持ちがいい。
ゆっくりと一護の端正な顔が寄せられて、そ…っと触れる唇は少し冷たくて。
最初はすごく丁寧に…というか、慎重に触れるくせに。
ちゅ…という小さなリップ音の後に来る二度目のキスは、すごく情熱的で。
まるで、私の全部が欲しいのだと…そんな感じすらするキスは…最高に気持ちいいって思う。
「ん…、はぁ…ん」
何度も角度を変えて。
何度も合わさる唇は、最初の冷たさなんてどこかに行ってしまったように、熱い。
キスの合間に、薄く目を開ければー…。
男っぽい…ぞくぞくしてしまうような…熱っぽい顔つきで。
ちょっと苦しげに、眉を潜めて。
あぁ…なんて、気持ちのいいキス。
「美穂子…」
吐息すら、熱お帯びていそうな声に…呼ばれると、全身がとろけてしまいそうになる。
その唇から……いつも、私はあなたの愛が伝染するの。
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美穂子とのキスは、なんていうか…すげぇ興奮する。
好きな奴と触れ合うだけで、男はちょっとした興奮状態になると思うけど。
けど、キスは…尋常じゃねぇくらい、興奮する。
最初はな、軽いキスのつもりだったりするんだ。
ゆっくりと口付けて、美穂子の柔らかい唇に触れたいってだけでさ。
それだけのつもりで、唇を合わせるのに。
いつだって、それは一度じゃ収まらなくて。
何度も…唇を合わせちまうんだ。
その度に、熱が…興奮が、まるで伝染するみてぇに俺の頭を沸騰させる。
好きだって気持ちが溢れて。
どうしようもなくなって…俺は、何度も美穂子の唇を貪るようにキスをする。
その途中で見る、美穂子の薄目を開けた表情なんて…やべぇぐらいだ。
腰から背中に駆け抜ける痺れるようなぞくぞくした感じは…何度味わっても慣れねぇ。
「一護…ぉ」
あぁ、そんな風に呼ぶなよ。
お前のこと、全部奪ってやりたくなる。
お前を誰にも見せねぇってくらい、腕の中に閉じ込めたくなっちまうじゃねぇか。
唇から伝染したように…熱が身体を渦巻いて。
俺は美穂子を腕にしっかりと抱きしめる。
悪ぃな…美穂子。
今日も、お前を離してやれる気がしねぇ…
END