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【呪術廻戦】無下限恋愛

第7章 両面宿儺


 両面宿儺が五条先生に飛びかかろうとする。

 でもそこに五条先生はいない。


「生徒の前なんでね、カッコつけさせてもらうよ」


 その言葉が憎らしいと思えるくらいに。

 その時の五条先生の動きはカッコいい以外表現の仕様がなかった。


《く……っ、……ん? 貴様は》


 転がった両面宿儺と目が合った。

 貴様って、私?


《そこの小娘からいい匂いがする。いい、……いいぞ。手始めにその娘を喰う》


 両面宿儺が楽しげに笑って、私の方へ飛ぼうとした瞬間。

 またしても目にも留まらぬ速さで五条先生が両面宿儺を殴り飛ばした。


「皆実に手出したら、10秒経たずに祓うけどいい?」


 五条先生は余裕そうな顔で立っている。

 そんな五条先生に対し、両面宿儺も笑ってる。


《まったくいつの時代でもやっかいなものだな。呪術師は》


 そう告げて、両面宿儺が腕を振る。

 コンクリートの瓦礫ごと、こちらに向かって飛んでくる。

 けれど、それらは私たちの目の前にいる、その人の前でぴたりと止まった。


「7、8、9……そろそろかな」


 五条先生のカウントダウン。

 10の合図とともに、両面宿儺の気配が薄くなる。同時に顔の模様も消えていく。

 そして……。


「おっ、大丈夫だった?」


 さっきの男子がちゃんと戻ってきた。

 この人、本当に抑え込んでるんだ。

 あの、膨大な呪力の気配を、その身体で。


「驚いた、本当に制御できてるよ。うちの皆実とは大違い」


 五条先生はそんな嫌味を口にする。

 否定できないのが悔しいけど。

 実際、そう。


「皆実って誰」

「この子」

「あ、そのめちゃくちゃかわいい子! さっきからずっと気になってたんだよなあ……っつ!」


 上半身裸の男子は顔を歪め、そして自分の頭をガンガンと叩いた。


「大丈夫?」


 私が問いかけると、その男子は「ああ、全然!」と本当になんともなさそうに答えた。


「でもちょっとうるせーんだよな」

「それで済んでるのが奇跡だよ。皆実ならとっくに精神イッてる」


 もっとオブラートな言い方ないかなあ。

 そんなことを思ってたら、五条先生がその男子の額に指を当てた。

 瞬間、男子の体から力が抜ける。
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