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【イケメン戦国】白衣の戦姫

第11章 姫さん、再会する


「華音!!どこだ!!」



しばらくして聞こえてきた叫び声に、華音は体勢を戻して佐助と向き合った。
もうすでに着物は直されている。



「今の声は…」

「秀吉どのの声だ。……佐助くん、もしかして私を拐った奴等は謙信公と信玄公のところに来た?それで貴方は一足早くここに来てくれた?」

「そうだけど…って拙い…!」



佐助は一足早くここに来た。
つまり謙信と信玄と幸村もここへ向かっている。
このままでは、秀吉と謙信達がかちあわせかねない。
謙信達と奴等が通じ合っていたという事実がある以上、華音誘拐に関与していると思われても不思議ではない。



「謙信公達のところへ行って、佐助くん。私はもう“大丈夫”だから」

「…分かった」



本当なら安心できる状況になるまでそばにいてやりたかったが、本人が大丈夫だと言う以上引き下がるしかない。
音もなく佐助が去った後に、時間差で部屋の向こうから足音が近くなった。



「華音!!」

「秀吉どの、…と、美少年」



華音の姿を確認した瞬間、空臣は大きな瞳を潤ませて華音に飛びついた。



「よがっだァ〜!!」

「コラ馬鹿!空臣!」

「……美少年、泣くのは私の方じゃないのか」



いや泣かないけど、と華音は心の中で付け足す。



「ごめんなさい、ごめんなさい…!!」



ひたすら謝罪の言葉を繰り返す空臣に、もう敵意はなかった。
否、信長達とあい見えた時点で、空臣からは悪意は感じられなかった。
そうでなければ、空臣は今頃安土城で捕らえられたままだっただろう。



「…もう大丈夫だから、男がいつまでも泣くんじゃない」



自分とほとんど変わらない背丈の少年の背中をぽんぽんと軽く叩き、優しく言う。



「そんなんじゃいつまで経っても“半人前”にもなれやしない」

「…それは困る」



空臣は華音に抱きつく腕を離した。



「とりあえず華音、無事で良かった…ところでこいつらはどうしたんだ?」



秀吉の目の前には、伸びて気を失っている男三人がいた。
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