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short PARADOXXX(ハイキュー)

第29章 devoted 木兎


「はぁぁ…」

毎晩のルーティンである風呂上がりのビールを片手に深くため息をつく

私、橘 歩は株式会社MSBYという大手自動車部品メーカーで働いている

総合企画部・主任という肩書きは男性も含めた同期の中でもトップクラスだけど、毎日目の回るような忙しさで正直恋愛している暇もないままアラサーと呼ばれる年齢まで来てしまった

それなりに男性とお付き合いしたこともあるけれど、どうしても仕事優先してしまうし、それにあまりに自立しているせいか長続きしなかった

ため息の理由はというと、この多忙な毎日に加えて今年は労働組合の理事まで兼任することになってしまったからである

組合の行事を企画したり運営したりするのも理事の仕事で、今より忙しくなるのは明白だった

で、今年の組合行事は我が社のバレーボールチーム、MSBYブラックジャッカルのアウェー応援ツアーに決まった

仙台市で行われるバレーボールの試合の観戦と食事、そのまま宿泊というツアーなのだが、独身ということもあって私がそのツアーの企画担当になってしまった

ただでさえ忙しいのに…日程表の作成のためにバレーボールチームとの打合せもしなきゃいけないとか…これは益々婚期が遅れそう

そんなことを思いながら缶を傾け、残りのビールをグッと飲み干した





ー数日後

我が社のバレーボールチーム、MSBYブラックジャッカルの練習が行われている体育館に足を踏み入れる

体育館に入るなんて何年振りだろう

「本日お約束しておりました、本社の労働組合理事の橘です」

チームマネージャーの元に近づき、名刺を手渡す

「これはこれは、わざわざ体育館までおいでいただいてありがとうございます。しかもこの度は応援ツアーで、本社社員とそのご家族が応援にきてくださるとのことで」

「こちらこそ、プログラム作成などでご協力いただきますので、よろしくお願いします」

「お手伝いできることは何なりと」

「早速なんですが何名かの選手に、組合員のみなさま宛のメッセージを頂戴したいのですが」

「了解いたしました」


チームマネージャーは選手たちに集合を促し、私の紹介をしてくれた

「ということなので、誰か手の空いている者は橘さんに協力…

「はいはいはいはい!!!」

被せ気味に挙手してくる選手が目に入る
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