• テキストサイズ

ヒロアカ短編集

第1章 好きって言って。爆豪勝己の場合





「ねー、好きって言ってー」



学校が休みの昼下がり。
ポカポカ陽気の外を横目にレースカーテンをだけを閉め、柔らかな光が差し込むベッドに遠慮なく寝転がりフワフワだったであろう羽毛ぶとんをギュウッと抱き締めて可愛く上目遣いをするわけでもなく、布団に顔を半分埋めながら気だるげに言うのは爆豪の彼女の戦場。


別に好きって言われなくても好いてもらえてるのは分かってる。
分かってるんだけどたまには言葉も欲しい。
彼を疑ってるわけじゃないし不安とかそういうんでもない。
ただちょっと寂しいのとちょっとからかいたいのだ。
いや、かまって欲しいのが正解か。。。


付き合ってるとは言え、寮生活なので夜は別々の部屋で就寝するのだが、起きて朝食を皆で取り、お昼ご飯が来るまでは自由に過ごしている。
休みだからできるこのゴロゴロ。
怒られるまでは続けたい。


暇だし昼前にトレーニングをしたって今はやる気にもなれないし、かと言ってやることも無いし、どうせ1人になるくらいなら大好きな彼の元にいたい。
朝ごはんを済ませ当然のように彼についていくと自室に戻るようだったのでそのままベッドへダイブした訳だ。



突然何を言い出すかと思えばまた訳の分からんことを言い出す自分の彼女に、勉強机に設置されている回転椅子にドカッと座り肘を着く爆豪はチラッと戦場を見てチッと舌打ちをする。

これは照れ隠しだ。
戦場もそれは分かってる。

分かってやってるのが分かるから爆豪も思わず貧乏揺すりが始まってしまう。

素直に好きだと言えればどれだけ楽か。
恥ずかしさと妙なプライドが邪魔をして自分の首を締め上げている。
でも言えないのだ。


あの時は、告白した時はこいつの周りに小バエがブンブンうっせぇから取られちまうと…そう思ったから口に出せたが…。

いざそうやって言われると喉まで出かかってる言葉が腹の奥底まで引っ込んでいく。


ガクガクと震える貧乏揺すりに戦場はそっと寝転がりながらではあるが、優しく触れる。
そこには言葉にしなくても伝わる確かな”好き”があって、爆豪の顔もやんわりと綻び、肘を付いていた手から顔を外して戦場の顔を見る。



/ 17ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp