• テキストサイズ

aslan

第7章 事故




暁辰会のボス" 暁 辰彦 "の乗っているリムジンが
高速道路で大型トラックに追突されたのは

それから数ヶ月後の事だった



マフィアのボスを狙ったライバル組織の差し金かと
一時は抗争になりかけたが

結局
原因はトラックの運転手の居眠り運転だったという事で
大きな争いは起こらなかった






もう少しで10月も終わるある日の午後
辰彦の葬儀は盛大に執り行われた

泣き崩れる魅音の代わりにリンは喪主をつとめ
大勢の参列者達の前で立派に挨拶までしてみせた



参列者達が帰って行った後も

リンは父親の墓の前に
ただ黙って立っていた



西の空がみるみる曇り
叩きつけるように
大粒の雨が降り出す


少し離れたところで様子を伺っていたセツナが
車に戻るように言おうとリンに近づいた時

彼女の肩が
震えていることに気が付いた



父親の死を聞かされてから
ずっと気丈に振る舞っていたリンは
いま
その墓の前で
声を上げて泣いていた


セツナはリンの腕を掴み
自分の方を向かせると
小さな身体を
強く抱きしめた






泣き声をかき消す雨が
涙と混ざり合って
全てを洗い流していく







真っ黒な雨雲と共に激しい通り雨が過ぎると
優しい日の光が2人を照らした


温かなセツナの腕に包まれながら空を見上げたリンは
愛する父親にそっと別れを告げた










/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp