第3章 2度目の青春
一般入試も終わり、入学当日。
相澤の車に乗り込み、学校へ向かう。
相変わらず、車内には無言が続きがちだった。
『とうとう、入学だね。これから学校でもよろしくね。家同様、迷惑かけると思うんだけどさ。』
「…生徒なんて、教師や学校に迷惑かけて育ってなんぼだろ。あんまりたくさんは勘弁してほしいけど、少しくらいなら許してやるよ。」
『そっ…、か。優しいよね、消太。昔より丸くなった?』
口数が少しだけ多い相澤に、少しだけ驚きながらにやにや話しかける。
そうすると、運転中の相澤はちらりと一瞬こちらを見た。
「俺は元から、こういう性格だ。」
表には出さないだけで、と心の中で呟くが、阿吉良には届かない。
元から、ねぇ。
と、復唱する阿吉良。
5年前以前の彼とはもちろん同期でもあったし、お互いプロヒーローとして活躍するようになり、一緒に仕事をすることもあったが、話しかけても無視は当たり前。
私の知っている彼は本当に本当に必要最低限しか話さない男だった。
たぶん、私に対してだけなのだろうけど。
でも、彼は変わった。
話しかけたら大体は返してくれるし、まだ少しの間しか一緒に暮らしていないが、行動でも優しさをちょいちょい感じる。
時が経つと、人って本当に変わるんだな。