第2章 再スタート
推薦入学試験前日、私は相澤と学校へ行く事となった。
要はご挨拶と書面だけではなく、自分の口から校長先生及び他に在籍している先生方に説明しに来た。
みんな、見たことあるというか、なんなら5年以上前に一緒に仕事したことのあるヒーローもちらほらといて。
私の口から説明が終わると、根津校長が口を開いた。
「本当に良く頑張ったよ、阿吉良くん。君はヒーロー以前に人としての芯がとても強い。それだけ強い事が証明されたのなら、きっと免許限定もすぐ取れるだろうし、暴走も抑えられるはずさ。」
『いえ、それは買い被り過ぎです。根津校長、いくら私の精神に磨きがかかったとしても、個性の暴走…は、止められるかどうかは…。情けない話ですが、個性の暴走は一種の能力のようなものなのです。使うと暴走するのは必然、当然。もちろん、度合いは時間やパワーにもよるので、全く手につかないというわけでもなく、色々状況にもよるのですが…。』
と、ネガティヴ全開な阿吉良に、隣に座っていた相澤が軽く頭を叩く。
『、!』
「バカか、その暴走をコントロールできるようにする為に雄英に再入学させられて俺の担任下に着くわけだろうがお前は。」
至極当たり前な事を言われ、ハッとする。
そうだ、私は暴走の挙句、5年もの間拘束されていたんだ。
これは国からのチャンス、ヒーローとしてのチャンス。
何ウジウジ仕方がないだなんて、言い訳しているんだろう。
『…ありがとう、そうだよね。私はその為にここにいる。』
「…ああ。」
やっと気付いたかと、軽くため息を吐き、腕を組み直す相澤。
私は、ここを出てから彼に助けられてばかりだ。
『私、頑張ります。ここにいる以上、当たり前のことかもしれないけど、誰よりも頑張ります。』
そう宣言すると、根津校長は満足げに笑顔で返事した。
「ああ!ようこそ雄英に!」