第5章 真夜中
そんな風にして
3ヶ月が過ぎたある日の真夜中
仕事を終えたサトルが車で帰宅している途中
繁華街の入り口に
一台のパトカーが止まっているのに気付いた
信号待ちの時にそれとなく目をやると
パトカーの後部席に見覚えのある女の姿が見えた
急いで路肩に停車したサトルは
帽子を深めに被り直して車を降り
パトカーの側に立っている警察官に声を掛けた
「…スイマセン!彼女…どうしたんですか…?」
「…何アナタ…この子の知り合い?」
「…そうです…」
「…未成年が夜中にスーツケース転がしながらこんな所ウロついてるから…家出人じゃないかと思って声を掛けたら…逃げようとしてね…」
「……」
「……アナタ…この子の自宅ご存知?……さっきから親御さんに連絡してるんだけど…全然出ないんですよ…」
「……ぁ……分かります………良かったら…僕が家まで送って行きましょうか?」
「……そうして貰えると助かりますよ……親御さんにも…このこと…よく注意しておいてもらえますかね…」
「…分かりました…」
こうして
リサはパトカーから降ろされた
サトルはリサを自分の車に乗せ
人気のない場所まで走らせると
車を停めた
「……フッ…………驚いたよ……」
『………迷惑かけて……ゴメンなさい…』
「……別に謝ることではないけど……スーツケースなんか持って…何かあったの?」
『………怒って……ないの?』
「……怒ったりしないよ…………でも……すごく…心配してる…」
『……』
「………ねぇ…………リサの事………そろそろ…ちゃんと教えて…?」
サトルにそう聞かれたリサは覚悟を決め
今まで適当にはぐらかしていた自分の事を全て正直に話し始めた