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【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜

第3章 人でなし





一通り部屋を見てみたが、

食事をとった形跡も、水まわりを使った形跡もない。




(無事なら良いんだが…)




今度は戸棚や引き出し、部屋の隅々まで調べることにした。

どこも綺麗に整理されていて、

特別何かがあるわけでも、何かがないわけでもない。

シンプルだが、時折女性らしく可愛いインテリアが目に入る。



最後は寝室だ。

引き出し付きのベッドに3段のチェストが1つ、

4畳ほどのウォークインクローゼットがある。

女性の部屋をあちこち探るのは気が引けたが、

今は仕方がない…



やはり、どこを調べてみても不審な点はない。


しかし、組織からコードネームを与えられている限り

彼女は“ 普通の人 ”ではない。

それだけは分かっている。



(…僕も人のことは言えないが)




降谷はおもむろに

ベッドの下についている引き出しを全て抜き、

中をのぞくが、何もない。



「それなら…」



腕を入れて、ベッドの裏側をペタペタと触ってみる。

すると硬いものに手が当たった。

ゴツゴツとしていて、L字に曲がっている。

指先で形をなぞっていくと

この形には身に覚えがあった。




「…拳銃、か」





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