第17章 看病
「まだ何か食べられますか?」
「いや。もうやめておく。」
天元はふーっと息を吐き横になる。また熱が上がり始めたようで顔が赤くなってきた。
は、絞った手ぬぐいをそっと額に置き、優しく訊く。
「つらい?」
「・・・少しな。」
「・・・膝枕する?」
「いいか?」
「どうぞ。」
「さっきみたいに髪、触ってくれるか?」
「それで楽になるならいくらでも。」
天元はまたの太腿に体を預け、腰に腕を回す。は髪を指でサラサラと梳いてやった。
「すげー落ち着く。いつになく優しいじゃねーか。」
「天元が傷ついている様なので。・・乗りかかった船ですね。」
「仕方なしにしてる?」
「珍しく弱ってるからね。」
「弱ってなかったら?」
「変なことしようとするから当然しない。」
「あ、そ。じゃあ、堪能しておこう。」
「・・・眠れそう?」
「あぁ、うとうとしてきた。」
髪をサラサラと梳いているうちにすぅすぅと寝息に変わった。薬が効いてすぐに熱も下がったようで、自分で寝返りを打っての膝から降りた。顔色も大分良くなってきている。
はほっとして、隣の部屋に移った。
朝になり、食事の準備をしながら、杏寿郎の帰りと天元の目覚めを待つ。
「いー匂いだな。」
欄間にもたれながら天元がにっと笑いを見る。
「・・・元気になった様で何よりです。」
天元は朝食を摂ったら、に向き直ってお礼を言う。
「・・・昨日は世話になったな。色々我儘聞いてもらって申し訳なかった。気恥ずかしいから煉獄が戻る前に蝶屋敷にいくぜ。」
「天元。次庭にいたら、奥さん呼ぶか、蝶屋敷に連れて行くからね。」
もにっこり笑って答える。
「え?よく聞こえねぇ。」
天元は笑いながら、いつものようにフッと消えた。