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【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第11章 彼女と彼


ミスティは鍛錬場に来ていた。
任務のない時や空いた時間はここに来て身体を動かしたりするのだが、最近のミスティは瞑想することが癖になっていた。


『何でかな…ここに来ると落ち着く。』


そう呟き目を閉じた。
誰も居ない何も無い空間で1人、瞑想する時間が今のミスティには必要だった。

革命軍の兵士としてセレナと名乗るミスティ
世界政府の精鋭部隊CP9の1人であるミスティ

このダブルフェイスの彼女の精神は見た目には分からない程、擦り減りボロボロだった。革命軍として世界政府へ潜入した結果がCP9なのだが、今のミスティにはどちらが本当の姿なのかたまに分からなくなることがある。

勿論、CP9ではなく革命軍としての自分が本来の姿なのだが、大切な人の為とは言え偽名で通していた革命軍の自分。本名ではあるが正体を偽っているCP9の自分。どちらも嘘だらけだ。

革命軍としての正義と自由の為に自分は存在していると昔なら言うことが出来た。でも今はどうだろう。

潜入とは言え、CP9に所属した事で私は人を傷つけたしこれからも傷つける。これは避けられない。
例え革命軍としての任務を全うしても革命軍には戻ることは出来ないし戻りたいという気も起きない。かと言ってCPとしてこの場に留まることもないだろう。


(私の居場所は何処なんだろう…)


8年前なら迷わず自分の居場所は"彼"の隣だと断言しただろう自分を想像すると笑えてくる。自分が見るだろう広い世界の景色には必ず"彼"が居ることを信じて疑わなかった。"彼 "を思い"彼 "からも思われていた自分。間違いなく今までで1番キラキラしていたあの時の自分が本当の自分ならとうの昔に居なくなっていたのだ。


『…ロゼ・ミスティって1人の人間の居場所なんてとっくに無くなってたんだ』





──静かな空間に彼女の小さな呟きが誰にも届くことなく響いて消えた

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