【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第22章 邂逅
大騒ぎになっている会場ではミスティの逃げろという言葉など離れているアリスには届かない。泣き叫ぶアリスの声にレインやコリンも気付いたが、ごった返した会場で守りながらの作業で動けなかった。
「ステラ!アリス様を、ステージに居る子供を助けろ!」
レインは近くに居たステラに指示を出した。
「えっ?そんな…」
「急げ!死ぬぞ!」
その間もブチッブチッとワイヤーが擦り切れていく。
グワッシャーン
盛大な音と共にバキバキという音を立てピアノを押し潰しメインステージは大破した。
辺りは音により人間の動きが一瞬止まりシーンとなった。
「……アリス?」
「嘘よね?嫌っ…アリスー!!」
夫妻の泣き叫ぶ声が響いた。その声を皮切りに静まり返っていた人々がまた騒ぎ出し逃げようと動き出した。レインは直ぐにステージに駆け寄りアリスを探した。ピアノの近くに居た筈だと探すも押し潰されたピアノの残骸しか確認出来なかった。
その時、
「スティル…ハートさん…」
小さな声がした。メインステージの最も奥の壁際の方からだ。声のする方へ駆け寄るとシャンデリアと壁の僅かな隙間にアリスとアリスを庇い盾となるミスティを見つけた。
「コリン!セツナ!早く来い!」
2人に怒号を飛ばした。落下の衝撃を鉄塊で防ぎアリスの盾となっているミスティが意識を失えば重みで2人とも潰れてしまう。呼ばれた2人は状況を察知し救出に動いた。
「アリス!!」
「お父様!お母様!」
救出されたアリスを夫妻は抱き締め涙を流した。
レインは助け出され壁にも垂れているミスティに声を掛けた。
「ロゼ…動けるか?」
『これで動けって…鬼。』
返ってきたミスティの返答にフッと笑みを浮かべレインは答えた。
「良くやった。」
ミスティを抱き寄せ運ぼうとするレインにミスティは慌てて言った。
『あの…血で汚れるので…その服が。』
自分の事よりレインの服を心配するミスティにレインは呆れた。
「バカ。そんな事どうだって良い。大人しく運ばれろ。」
ミスティを抱き抱えたレインは歩きながら大人しくなったミスティに気付いた。
「ちっ、寝てやがる。」
そう言うレインの顔は言葉の乱暴さの割に穏やかだった。
──やっと会えたな、ミスティ。