【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第19章 海軍の御用
復帰の任務が決まって落ち着かないミスティは、船を待つ間、皆から離れた所で海を眺めていた。
『私の何かあると海を眺める癖、直らないな。』
悲しい時や泣きたい時は海を眺め心を落ち着かせているミスティ。
『身体は大丈夫。』
そう言い聞かせた。実際、身体の感覚は戻ってきている。要は気持ちの問題だ。
(任務に集中しろ、私!)
心の中で鼓舞していると海兵から準備が整ったと声を掛けられた。
船の前では海兵が整列しており、クザンとレインが話していたが、ミスティに気付くとクザンが言った。
「待たせたなぁ~じゃ行くとしましょうか。」
『宜しくお願い致します。』
ミスティはペコリとクザンと海兵に向け頭を下げた。頭を上げると笑顔のクザンと大勢の目をハートにした海兵…と不機嫌なレインの姿。
(任務に戻ればもう会えなくなるから最後くらい良い別れ方したかったのに…)
クザンが船に乗り込み、ロゼさんもどうぞ、と海兵から差し出された手を取ろうとした時、背後で声がした。
「ロゼ。」
振り返らなくても誰の声か分かる。でも色々な気持ちがグチャグチャで振り向けなかった。その場で固まっているとコツコツと音が近づいて来て止まった。
「おい。」
『…はい。』
船の方を向いたまま答えた。
「こっち向けって。」
(ドキッ)
ミスティは逃げられないと諦め身体の向きを変えた。
「身体大丈夫か?…昨日無理させた。」
『えっ//あの、えっと…』
「落ち着け。お前、そんなだったか?」
ふっと笑みを浮かべたレインが言った。
「怠いだろ?特に腰。」
『だいじょ…』
「悪い、お前が可愛すぎて我慢出来なかった。」
ミスティは身体を気遣うレインに心配させまいとしたがレインの爆弾発言に遮られた。
『それって…』
勢いって事?
「勘違いするな…お前だからだ。」
私…だから?
「だから他の男の前で隙を見せるな」
身を屈め耳元で囁かれた言葉にミスティが顔を上げると拗ねたレインと目が合った。ヤキモチ?
『はい!』
ミスティは嬉しそうに答え背伸びをしチュッと頬に触れるだけのキスをして船に乗り込んだ。
「場所が違ぇだろ…ミスティ」
レインの独り言は波の音にかき消され本人へ届く事は無かった──