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十六夜の月【アイナナ短編集】

第4章 四夜目.恋のかけら




OFF RECORDING②


【心の隙間を埋めてくれ】


環「そういや、えりりんってなんでそんなお金いんの?」

『そっか、タマちゃんにはまだ話してなかったね。実は私』

千「学校に通いたいんだよね。スタイリスト養成学校だっけ?ヘアメイクの資格があるだけでも立派なのに、さらに高みを目指すなんて素晴らしいね」

環「ユキりんには訊いてねえし、なんかめっちゃ詳しいの、ちょっとだけ腹立つけど許してやんよ。俺、大人の男だから」

千「…そう」

『もう千さん。揶揄いがいがなくてつまらないな、みたいな顔やめてください』

千「だって、揶揄いがいがなくてつまらないんだもの」

環「てことは、えりりんも俺と同じの、高校生になるってこと!?」

『あはは。さすがに高校生は無理があるよ!女子高生には、逆立ちしたって敵わないなあ』

環「なんで?クラスの女子とかより、えりりんのが全然可愛いし綺麗し、負けてるとこなんか一個もねえのに」

『タマちゃん…っ!ありがとう!愛してる!』

環「へへ、でも俺の方が愛してるけど」

千「……なんだか、無性にモモに会いたくなったな」

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