第2章 初めて
「…エレン?」
ケイトは突然黙ってしまったエレンを不思議に思い、声をかける。
するとエレンはケイトの方に顔を向け、真剣な顔で口を開いた。
「…俺がお前を守るから…」
「…え?」
何の構えもない言葉に耳を疑う。
言葉を放ったエレンの声は震えていた。
そして、今度は真っ赤な顔をケイトに向ける。
「お、俺がっ!ケイトを守る、から…」
潤いに満ちた大きな瞳は微かに揺れていてケイトをぼんやりと映すことしかできない。
しかしそんなエレンにケイトは胸の奥の方が熱くなる感覚を覚え、服の裾をきゅ、と握りしめた。
その服はいつかの服で、もうすでに裾は伸びきっていた。